2013年6月10日

台湾の猫写真家 猫夫人写真集刊行・個展開催 のお知らせ

写真集『猫楽園』猫夫人著   天野健太郎(『台湾海峡一九四九』他)訳
イースト・プレス刊 A5版並製、128頁、税込1,260円、2013年6月15日刊行(原題『台湾這裡有猫』)

◇猫夫人写真展「猫の楽園―台湾―

2013年7月17日(水)~7月29日(月)(火曜定休日)
10:30~18:30(最終日16:00終了) 入場無料
ペンタックスフォーラム ギャラリーⅠ (新宿センタービルMB)
※17日・18日 14時~ 猫夫人ギャラリートーク開催(通訳あり、参加無料)
(一部作品をウェブで公開中)

◯台湾の人気猫写真家 猫夫人が、長年見守りつづけてきた猫たちのゆる~い表情や元気いっぱいのアクションを、素朴な台湾の風景と人情厚い地元民の笑顔とともに切り取った作品。九份、猴(ホウトン)猫村といった人気観光地から、ガイドブックには載ってない台湾の路地、漁港、お宮、古民家、素麺工房、軍人村や何の変哲もない商店まで、猫の視線で台湾を映しとり、猫と台湾人のふれあいのストーリーを写真とエッセイで届けます。

◯猫夫人は7月16日~20日来日予定です。取材インタビューなど受付中(info@bun-bun-do.com)です(通訳あり)。





【猫夫人プロフィール】



台湾の猫写真家、猫と地域のボランティア。猫が好きで撮影を始め、猫がいると聞けばフットワーク軽く、台湾中を駆けまわってカメラを構える。猫の写真を掲載したブログが大人気となり、2013年3月現在1000万ページビューを超え、フェイスブック公式ページは2万いいね!突破。台湾で多くの個展、ワークショップを開催。新聞・テレビ・雑誌などの取材(ディスカバリーチャンネル出演、NHKBS「岩合光昭の世界ネコ歩き」現地案内)のほか、2009年第二回田代島にゃんフォトコンテスト「金猫大賞」受賞(受賞名は本名)。
のら猫と地元コミュニティとの共生を目指し、台北郊外の猴(ホウトン)で餌やり、不妊手術、環境美化などのボランティア活動を展開。ひなびた旧炭鉱町を内外の猫好きが訪れる観光地「猫村」に変えた。




2006年 猫写真の撮影を始める。猫ブログ( http://www.wretch.cc/blog/palin88 )開設
2008年 「猴(ホウトン)」でボランティア活動開始(現在も続く)
2009年 台北爵士藝廊で初個展。これ以降、台湾各地で個展を開催し、撮影講座で講師を務める
第二回田代島にゃんフォトコンテスト「金猫大賞」受賞。ディスカバリーチャンネルの特集番組に出演
2010年 ボランティア活動記録『猴――猫城物語(猫と小さな炭鉱町の物語)』刊行
世田谷ブローダーハウスで個展。新北市観光キャンペーンCM出演
2011年 第1写真集『台湾這裡有猫(台湾で見つけた猫たち、『猫楽園』原著)』刊行
第2写真集『台湾這裡猫當家(台湾のお店番猫たち)』刊行
2012年 社団法人台湾319愛猫協会設立(理事長 www.cat319.org.tw/ )
和歌山電鉄の招きで「たま」駅長を撮影。ホテルニューオータニでチャリティー展開催
2013年 第3写真集『猫散歩』刊行
『猫楽園』刊行(イースト・プレス、天野健太郎訳)。新宿ペンタックスフォーラムで個展

【リンク】 猫夫人の作品も見れます。
□猫夫人フェイスブック(中国語)  http://www.facebook.com/catpalin
□2009田代島にゃんフォトコンテスト  http://plaza.rakuten.co.jp/tashirohamaya/diary/200911010000/
□猫夫人インタビュー(中国語)  http://stn.eslite.com/Article.aspx?id=1576
□猫村案内地図(中国語)  http://www.cite.com.tw/act/box_cite/YC3016/#5
□猫村陸橋完成のニュース  http://travel.udn.com/mag/travel/storypage.jsp?f_ART_ID=88683


「猫夫人ってどんな人?」   □天野健太郎


台湾に有名な、猫夫人がいる。
猫ではない。人間の女性である。猫の夫人でもない。人間である獣医の奥さんである。(つまり獣医の旦那さんが猫診療の第一人者であることから猫博士と呼ばれ、彼女は「猫博士夫人」となった。現在は省略して「猫夫人」と名乗っている。) さらに2人の人間の子供を育てる母でもあり、なおかつ花ちゃんやミーゴなど5匹(2013年3月現在)の猫を育てる人間のお母さんでもある。

彼女は猫が大好きで、猫専門で写真を撮るようになり、猫のため台湾中を駆け巡り、そして猫のおかげで有名になった。彼女の猫写真ブログは大きな人気を呼び(1000万ページビューを超え、フェイスブックは2万いいね!突破)、3冊目の写真集『猫散歩』が今年刊行されたばかり。ディスカバリーチャンネルなど新聞・テレビで多くの取材を受けるほか、個展・ワークショップを度々開催し、2009年の第二回田代島にゃんフォトコンテストでは「金猫大賞」受賞したという、筋金入りの“猫”夫人である。

もっとも、彼女は最初から猫好きだったわけではない。実家では犬を飼っていたし、本人も最初は猫が苦手だった。きっかけは学生時代のバイト先から猫を2匹引き取ったことで、結婚後も、猫好きの夫が率先してさらに何匹か増やして、仲良く暮らしていたが、出産・子育てで世話が難しくなり、友達などに引き取ってもらった。でも一旦火がついた「猫愛」はおさまらず、子供が小学校に上がるのを待って(娘さんも飼いたい!と言い出し)、再び猫を飼い始めて今に至る。

カメラはご主人から趣味を持つように、とプレゼントされたもので、まったく気楽な気持ちで猫を撮り(最初は子供や夫を撮っていたけど嫌がられて猫にした。その後)、ブログに載せたら、まさかこんな未来が開かれているとは……。猫写真家として活躍中の彼女だが、それでも常に家族を最優先にしている。撮影時間も基本は夫を送り出して、子供が帰ってくるまでの午後の短い時間しかない。

もっとも、彼女を有名にしたのは、可愛い猫写真ばかりではない。その理由は彼女の行動力にある。
ブログでたくさんの猫仲間と知り合い、いろんな経験・情報を共有・交換するようになった彼女は2008年ごろ、台北郊外(新北市瑞芳区)の猴(ホウトン)に大量の猫がいるということを知った。ここはかつて炭鉱で栄え、最盛期はおよそ3000人の人口があったが、その後長くさびれ、過疎が進んだ。鉄道に寄り添う全長300mほどの小さな村に暮らすのは200人程の老人ばかり。でもここに120匹もの猫ちゃんがいたのだ! 彼女がブログに猴で撮影した猫たちの写真を載せるうち、台湾はおろか海外からも猫好きがここを訪れるようになり、台湾有数の「猫村」として、瞬く間に脚光を浴びるようになった。

地元のおじいちゃんおばあちゃんはとても猫を可愛いがっていたが、なにしろ数が多すぎる。世話が行き届かず、また残飯を食べさせていたため、食べ残しが腐り、放ったらかしの糞尿も匂った。これでは衛生状態が悪化するし、餌も足らず、猫が病気になる。そこで猫夫人たちはネットで猫好きたちに呼びかけ、村の清掃美化活動を行うことにしたのだ。それ以降も餌やり、去勢・避妊手術、予防接種など長期的にボランティア活動を展開。のら猫と地元コミュニティとの共生を実現した。

台湾といえば猫カフェ発祥の地である。とくに看板に書いてなくても、喫茶店には普通に猫がいて、我が物顔で歩きまわる。だからよっぽどみんな猫が好きなんだろうと思うが、猫夫人によれば、台湾で猫は決して好かれる存在ではないと言う。

人に忠実な犬と比べるとどうしても「言うことをきかない」「感情がない」「陰険」などマイナスイメージがあり、都市生活においては鳴き声がうるさい、糞尿が汚い、臭いなどのら猫への風当たりも強い。また台湾の伝統的な考えで猫は不吉なものとされ、猫の目は人の魂を吸い取るとか、猫を飼うと商売が傾くとか(「じゃあ日本の招き猫はなんなのよ!」と猫夫人は反論する)、白い猫が跨いだ死体はゾンビになるとか、笑い話のような迷信がまだ根強く存在するのだ。台湾人(とくにおじいちゃんおばあちゃんの世代)にとって、猫とはネズミを捕まえるという以外に、なんの価値もないのだ。

どれもこれも人間側の猫への不理解が原因である。(と猫夫人は言う。) 猫ちゃん自体にもちろん罪はないし、なにしろ可愛い。お互いの生活を尊重すればもっと仲良くなれるし、実際にふれあってみれば、マイペースではあるけれど人なつっこい猫も多いのだ。
だから猫夫人はまず写真を通じて、猫がいかに可愛いかを一般の台湾人に知ってもらい、さらに実際のボランティア活動で猫をサポートし、人と猫の間に信頼が生まれるよう仲立ちし、猫の汚名を晴らす努力をしている。その仕上げは写真集に添えられたエッセイで、猫と人との間に生まれた心温まるストーリーや笑っちゃうようなエピソードを、彼女は素直な気持ちで書き記す。

猫好きならそれでいいというわけではない。猫写真家である彼女も、写真さえ撮れればいいという考えはしない。彼女は「まず見守る」ことから撮影を始め、けっして無理強いはしないという。しかも同じ場所・猫を何度もお訪ね、その子や孫まで長期的なケアを続けていく。また猫好きの人に対しては、可愛いからって餌をやってそれきりでなく、地域環境のため最低限ゴミを片付けて帰るよう呼びかけている。彼女の願いはただひとつ――台湾のすべての猫と人がなかよく共生できますように……。(昨年9月は日本で行われたある獣医学会に夫と参加し、チャリティー個展を開催し、収益を東日本大震災でみなしごとなった動物のために寄付した。)

「猫村」最大の功労者である彼女だが、なお感謝を忘れない。自分たちボランティアは結局時間的な制約がある。だから長期的な支援活動ができたのは、やはり地元の人の理解と協力があったから、と。彼女の明るく粘り強い、前向きなパワーは猫だけでなく、人にも届き、最初は数人からスタートした活動は住民と猫好きをひきつけ、さらに役所・企業まで巻き込み、今なお続いている。彼女はエッセイに、「熱心で頑張り屋」「あったかくて、実直」なところが台湾人の自慢だと書くが、それはそっくりそのまま彼女に贈りたいと思う。

猫村に今年またビッグニュースがあった。もよりの台鉄・侯駅に新しい跨線陸橋が完成したのだ(3月30日より猫・人共用で運用開始)。彼女は橋やバスのデザインなどにも知恵を貸し、4月のNHK「岩合光昭の世界ネコ歩き」撮影も、彼女が猫村を案内した。
第1写真集(&エッセイ)『猫楽園(原題 台湾這裡有猫)』が、日本でもイースト・プレスより刊行され(6/15、天野健太郎訳)、日本では2度目となる個展も、新宿ペンタックスフォーラム(7/17-29)で開催される。可愛い猫や台湾の風景の写真を通して、彼女のどんどん人(と猫)を巻き込んでいく魅力、行動力を感じていただけたら。



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